最先端を使うか、逆を行くか。
世界で、少し奇妙な現象が起きている。
最近の広告・ブランディングの世界では、
一見すると真逆の動きが同時に走っている。
一方では、AI企業が
AIそのものを前面に出した広告で存在感を競っている。
たとえば、生成AIで知られる
Anthropicは、
AIをテーマにした大規模な広告展開を行い、
「AIの思想」そのものをブランドとして打ち出した。
その一方で、
2026年のSuper Bowl広告では、
あえてAIを使わない表現が
「新鮮」「人間らしい」と評価され始めている。
さらに、広告業界最大手の
Publicis Groupeは、
AIとデータを中核に据えた大規模な投資・成長戦略を明言している。
これ、矛盾しているようで実は同じ話
「AIを使う派」と
「AIを使わない派」の対立に見えるかもしれない。
でも、少し引いて見てほしい。
これは対立ではない。
共通しているのは、
どちらも“立ち位置を決めにいっている”という点。
AIを前面に出す。
AIをあえて使わない。
どちらが正しいか、ではない。
重要なのは、
どちらを“選びにいっているか”。
一番弱いのは「とりあえず」の判断
現場で一番多いのは、このどちらでもない判断。
AIも使う。
でも人間らしさも残す。
無難に、上は避けたい。
一見、安全そうに見える。
でも、この判断は一番話題にならない。
広告において「無難」は、
最大限の効果を発揮できない。
最先端を少しだけ使う。
逆張りをちょっとだけやる。
この中途半端さが、
ブランドやサービスの輪郭を一番ぼかす。
編集長の視点
広告は“説明”ではなく“立ち位置”の確保
規模感によって戦略は変わる。
でも、同じ業界で同じサービスが
同じような広告を打っていても意味はない。
その業界のグループの中で
どうやって目立つか。
広告や露出は、
サービスを説明するためのものじゃない。
知ってもらう“きっかけ”を作るものだ。
きっかけ。
ここが一番大事。
それは
「自分はどこに立つ人間なのか」
そのポジションを掴みにいく行為だ。
たとえば、
高画質・高性能が当たり前の時代に、
あえて「写るんです」で撮る。
話題になる仕組みを設計する。
話題になった瞬間、ポジションが生まれる。
この人はスペックで勝負していない。
視点で勝負している。
メディアはそこを拾う。
これはテクニックの話じゃない。
立ち位置の話だ。
そして、計画的な設計の話。
AIを前面に出す広告も、
AIをあえて使わない広告も、
本質は同じ。
ニュースを見る側から降りる
多くの人はニュースを“知るもの”として消費する。
でも、広告を仕掛ける側に回ると
見方は変わる。
世の中の動きを見て、
「どう使うか」を決めにいく。
その瞬間、
広告もマーケもクリエイティブも、
単なる掲載ではなくなる。
ニュースを追う側で終わるか。
ニュースを“創る側”に回るか。
ここが分かれ目。
今日のBIZ VIEWの判断軸
中途半端は、
一番安全そうで、
一番埋もれる。